ウォンも円もだいぶ下がってきてますので、1997年頃のアジア通貨危機を彷彿とさせつつあります。アジア各国では通貨準備の減りが大きくなってきており注意が必要です。
アジア通貨危機、再び?
1997-98でアジア通貨危機(Asian Financial Crisis)が発生しました。
1997年
1997年7月、タイでまず通貨危機が発生。
ヘッジファンドの仕掛けといわれていますが、基本的にはドルペッグ(ドルと自国通貨価値をリンクさせる)政策が継続できなくなったことが背景にあります。
当時は現在と同じように「ドル高」となっており、それにリンクする自国通貨は必然的に高くなり、輸出に依存する経済には打撃となっていました。
結果タイではバーツを変動相場制へ移行。
ルピアのインドネシア、リンギットのマレーシア、ウォンの韓国へと危機は拡大。韓国やインドネシア、マレーシアはIMF管理下で立て直しを図ることになります。
韓国では外貨不足から政府が一般の人に寄付をよびかけたほどでした。
2022年
現在もドル高となっています。
韓国ウォンでは
USDKRWチャート - ドルから韓国ウォンへのレート — TradingView
ウォンは10年来の高値を一気に越して、1997年の時を目指そうかという勢い。
一方で日本の円の方は早くも1998年頃の水準になっています。
USDJPY 144.011 ▲ +0.85% (tradingview.com)
ブルームバーグによれば、アジア各国で外貨準備が減少しているとしています。
外貨準備は自国通貨の裏付けとなるため、外貨準備の不足は大きなダメージになるはずです。
アジア新興国で外貨準備減少、金融危機以来の低水準-介入余力厳しく https://t.co/68ZLziCsz2
— ブルームバーグニュース (@BloombergJapan) 2022年9月12日
ここのところ外貨準備が最も大きく減ったのはタイ、マレーシア、インド。
また、インドの輸入カバー率は約9カ月、インドネシアは6カ月、マレーシアは4カ月に満たない状況となっています。
輸入カバー率とは、「外貨準備高で何ヶ月 分の輸入代金を支払うことができるかを示寿司票」です。
ということはあと半年前後(2023年年初)で代金を支払えなくなる国が複数出てくるかもしれません。
通貨危機になったら?
1997-8年の通貨危機では、日本ではアジア各国への融資の焦げ付きが多発しました。
ただその後は緊縮財政や増税の影響ともあわさって金融危機(銀行、山一証券破綻など)となりました。
現在は外貨準備は減少中ですが、これは2月までのデータなので現在はもっと減っていそうです。
日本 | 外貨準備 | 2000 – 2022 | 経済指標 | CEIC (ceicdata.com)
日本はすぐ危機とはならないかもしれませんが、他国の金融不安や円安や供給不足によるエネルギー高などの影響を注視していく必要はあるでしょう。