石油価格が下落した場合に上がる可能性のありそうな銘柄を集めてみました。 代表格はなんといっても航空各社。どのぐらい恩恵を受けるのでしょうか。
また石油会社のなかには、かえって上昇する可能性のある銘柄もあるので空売りには注しましょう。
石油価格の近況は?
ウクライナをめぐるロシアと西欧のぎくしゃくした関係。 イスラム国など、ますます不透明な中東情勢。 アメリカのシェールガス革命によって、エネルギー価格が安価で安定供給になるかと思いきや、オイルは上昇へ。
...となるはずが、現在は石油価格は急落。
石油関連の銘柄が軒並み下げ傾向です。 まったく価格の予想は難しいものです。
価格の予想はさておき、今後下落傾向が続くと思う場合には、その恩恵を受ける銘柄が探したくなるもの。
エネルギー価格の下落は、かなり広範囲の産業分野に恩恵を与えます。
石油価格で恩恵を受ける業種は?
さて業種で見ていくと、どのようなものに注目すればいいのでしょうか。
航空業界
わかりやすいところでは航空業界。
飛行機の往来で相当オイルを消費します。 オイル価格の下落による恩恵は多大なものが期待できます。
アメリカの航空産業では、2014年では約5兆円も燃料費に費やされています。
1ガロン当たりの価格が1.2ドル下がるだけで、デルタやアメリカ航空のような航空大手では5000億円近く燃料費を軽減できるといいます。
燃料下落の恩恵は非常に大きいものがあります。 (参考はこちら >>。)
化学関連
石油が原料価格に直結するという面では、プラスチックや化学系の会社が注目されます。 農業関連もエネルギーを多大に利用します。
肥料や農機具の使用で、オイル価格が大きく影響します。
消費関連
農産物や化学製品などが価格が下がること、自動車のガソリン代が下がること、...などから消費者の財布にはありがたい環境となります。
特に地方では、交通手段で自動車は必需品です。
1リットル160円が130円に下がってきました。 下手な減税よりも、よっぽど効果があります。
当然、この浮いた分が回ってくれば、スーパーや小売などの消費関連にとって恩恵となります。
石油株の空売りは安全か?
石油の下落では、石油株の空売りというパターンも考えられます。
実際、大手石油会社は軒並み株価を下げました。
しかしここで注意しないといけないことがあります。
石油株でも意外に下げないものがあります。
石油の「精製部門」は、石油価格の下落によって利益率が大幅に増加します。
したがって、石油株でも精製の比率がどのぐらいあるのか調べておいた方がいいでしょう。 場合によっては、空売りして失敗してしまうことになるかもしれません。
ブルームバーグでは英BP 、英・オランダ系ロイヤル・ダッチ・シェル 、フランスのトタルといった大手石油企業が、今回の下落相場で利益を上げているとの記事を紹介しています。 こちら >>。
記事では、これらの企業が世界有数の石油取引会社であり、商品取引を通じて利益を上げているのだということです。
この辺も、石油株空売りの際には気を付けておいた方がよいでしょう。
今後の石油価格の見通しは?
石油価格が今後また急上昇してしまっては、これらの株でかえって損をしてしまいます。 果たして今後の価格はどうなるのでしょうか。
ゴールドマンサックスの首席商品アナリスト、ジェフ・キューリー氏は長期低迷を予想しています。 価格が落ち着くとしても過去10年の水準を大幅に下回るであろうとみています。 (参考はこちら >>。)
また著名投資家のデニスガードマンさんは、2015年のインタビューで
もありえる」と答えています。 (参考はこちら >>。)
一方、アメリカのエネルギー王ことブーン・ピケンズさんは、2016年末までに100ドルに上昇する可能性を指摘しています。 (参考はこちら >>。)
このようにプロでも意見が分かれますし、先行きの価格が本当にどうなるかは誰にもわかりません。
また大きなトレンドとして2点注意しましょう。
スマートグリッドの普及などで、ますますエネルギーの利用効率がよくなってきています。 エネルギー使用量が過去よりも少なくなってきています。
太陽光など再生エネルギーはコスト高が問題でした。
しかし近年、劇的にコストが低減しきています。 気づいた時には、再生可能エネルギー比率が非常に高くなっていた、なんてことになっているかもしれません。
これはオイルやガスビジネスに大きな影響を与えます。